第114回医師国家試験を受験した

 表題の通り,第114回医師国家試験(令和2年2月実施)を受験しました。

 結果は合格していたので,3月16日の今,書いているわけですが,私の場合は結構なレアケースだと思いますので,勉強の経過を書こうと思います。

 

 6年生以前の私は,

  • CBT学年最下位(本試落ちし,追試でなんとか合格...)
  • ポリクリでも班の足を引っ張る係

と,低空飛行を続けておりました。そして,6年生に...。

 

春〜夏

 部活をやっていました,ずっと。運動部だったこともあり,西医体に向けて若い学年の子達と普通に遊んでおりました。

 私はmecを受講していたのですが,この時期は臓器別をぼちぼち見ていた,という感じです。そもそも医学を面白いもの,と未だに思えていない私にとっては何時間もある講座全てを受講することは只々苦痛でした。

 

夏〜秋

 いよいよ卒試がやばいとなり,丸暗記で挑む羽目になりました。弊学でも,やはり半分くらいの科では,国試から離れた内容が出題されており,勉強をそれまでサボっていたこともあり,病態生理をマジメにやる,という時間はほとんどありませんでした。その結果,ほぼ丸暗記で挑み,なんとかなったものの,卒試の内容は一瞬で忘れてしまいました。

 mecの方は相変わらずで,周りに臓器別をやっている人はいなくなりました。さすがにやばいと思い,友人らに勧められたmediLinkの「Dr.盛永の公衆衛生2019」を受講しました。医学よりも公衆衛生の方が面白いと思っている私にとっては,とてもわかりやすい講座で,おかげでこの講座だけで公衆衛生はそこそこ得意になることができました。

 

秋〜冬(〜12月)

 部活一辺倒の人間でもそろそろやり始めるこの頃,抑うつ状態がひどくて,ほとんど勉強部屋に行けませんでした。正直この頃からマジメにやっていれば,今回の国試の難易度だと,軽々と超えられていただろうなあ,と後悔しきりです。

 12月はじめに受けた第3回テコム模試では,

  • 必修;16x/200
  • 一般臨床;18x/300

(一応,1の位は伏せておきます。以下も同様。)

と(私にとっては)まずまずな成績でした。しかし...

 

1月〜

 1月はじめに受けた第4回テコム模試は惨憺たる結果でした。11月,12月とまともに勉強できていなかったので,当たり前といえば当たり前ですが,それでもひどかった。

  • 必修;14x/200
  • 一般臨床;16x/300

 全国順位は617x/6228でした。偏差値20代をはじめて見ました。

 この段階でまともに対策ができていたのは公衆衛生くらいでした。他の科目,特にマイナーに関してはほとんど手を付けられていない状況でした。

 模試を受けるためだけに勉強部屋を訪れたのですが,その時,友人にmedu4の「【114回対策】国試究極MAP」を勧められました。

 先に結論を書きますと,直前期は究極マップとmecの孝志郎先生の直前講座やラストメッセージなどをやりました。本番では,現在のところまだ正確な成績は出ておりませんが,

  • 必修;16x/200
  • 一般臨床;22x/300

(削除問題を考慮しておりません)

という結果になりました。114回の一般臨床のボーダーは1問削除で217/299ですので,なんとか合格することができました。

 

現状の国試で役に立つ戦術

 結局のところ,私が受講した映像講座は以下のものになります。

  • mec 臓器別(半分ほど)(マイナーは未受講)
  • mediLink Dr.盛永の公衆衛生2019
  • mec サマライズ(半分ほど)
  • medu4 【114回対策】国試究極MAP
  • mec 直前講座
  • mec ラストメッセージ

 このうち,mecに関しては,まともに見ているのは直前講座とラストメッセージのみでした。今年に関しては直前講座やラストメッセージはそこまで的中をしていたわけではありませんでしたから,私の成績向上に寄与したものはmedu4の国試究極MAPであると言えそうです。

 私はmedu4の回し者ではありませんので,medu4推し,をするつもりは更々ありません。予備校各社はそれぞれ競い合っているので,究極MAPのような講座は他社でもできてくると思います。私にとっては,盛永先生や穂澄先生の喋り方が合っていた,というだけのことだと思います。

 今回,私は他受験生より明らかに知識不足で浪人もやむなし,という状況でしたので,「素直に解く」ということに終始しました。問題によっては他の選択肢は全く見ずに2秒で解きました。2日間で4問ほど,最初に選んだ選択肢と迷う選択肢とで,回答し直したりしましたが,(俗に言う国試せん妄ですね)ほとんどの問題は自分の直感に委ねました。

 また,究極MAPを受講するにあたり,キーワードをとにかく重視しました。私は友人らに対して勝手に,"キーワード戦法"と言っていましたが,この戦法は特に,コモンでない疾患,に対して非常に有効でした。最も典型的な例としては,114D35ですね。

114D35

21歳の男性。手指の震えを主訴に来院した。18歳時から事務仕事をしていたが、昨年から週に3日午前中、派遣先の大型塗料店で在庫管理の仕事をしている。4日前と一昨日離島でダイビングをし、一昨日の夕方、ジェット旅客機に搭乗し帰宅した。帰路、天候が悪く、機体の揺れのため席から離れることができなかった。帰宅日の就寝時、右中指の近位指節間関節が痛いのに気付いた。昨日も指先の感覚に違和感を覚えたという。本日、字を書く時に指先が震えるため受診した。最も考えられるのはどれか。

a 減圧症

b 動揺病

c 頚肩腕症候群

d 有機溶剤中毒

e VDT作業による障害

 この問題はmecの採点サービスによると,88%の正答率(5832/6591)なので,外せない問題ですが,私が受けたときは,

ダイビング!旅客機!減圧症!

で2秒で解きました。他の選択肢は見ていません。今見ても動揺病とか知りませんし...。

 

まとめ

 "キーワード戦法"は現状の国試の形式では非常に有効だと思います。私のようにほぼ無防備で直前期を迎えないことが一番良いことだとは思いますが,どうせ来年の1月には私のような方が現れると思いますので,こういう割り切った対策もアリかと思います。

(もちろん研修医になってから苦労するのは目に見えていますが...。4月からがんばります...。)

 "キーワード戦法"について大事なことは,直前期の限られた時間で,「全ての科の(よく出た)全ての疾患」についてふれることです。現状,こういうことができる講座は究極MAPのみになりますが,今後各予備校でも同様の講座は出てくると思います。自分に合った先生の講座を取ることをおすすめします。

 弊学の国試合格率は全国的に真ん中あたりなので,私の友人ら数人は残念ながら不合格でした。不合格になった彼らがどういう勉強方法をとっていたかは知りません。しかし,CBTでも最下位をとり,第4回テコム模試でも最下位をとってしまった,そういう私でも直前期に逆転ホームランを打てたわけですので,この戦法を遺しておきます。